SBC80系 シリアル入力の2系統対応(1)

SBC8085やわたしのKZ80-CPUBでシリアルを2系統にしてみようと思い立った記録です。その(1)は割り込みコントロール部分をロジックICで組んでみたパターンです。

発端

発端は、tomi9さんのAKI80PlusCFボードを頂いて作成したことから始まります。AKI80PlusCFボードは秋月電子で販売されているZ80互換CPUボードでZ80 CPU+CTC+SIOなどなどを搭載している豪奢な構成のボードです

このボード Z80 SIO/2相当が入っているため、なんとシリアルA/Bを装備なのです。Grant氏がCP/Mを動かした構成もSIOなので2シリアル。Grant氏の機械語モニターも、CP/M用BIOSも もともとは2シリアル対応となっています。
これはちょっと憧れる構成でした。幸い手元にKZ80-IOB(I/Oボード)のプリント基板も予備がありまして、シリアルLSI 8251×2つの構成にしたら同じように2シリアルにできるのではと思いつきました

割り込みコントローラの回路

もともといままでのKZ80-IOBやSBC8080 SUBルーズキットは割り込みをかけてくるのは8251のみだったため、複数の割り込みをコントロールしていませんでした。80系のCPUは割り込みがかかった際(#INT信号がきたら) データバスから命令を読み込む仕様となっています。割り込み時には周辺チップ側で、RSTxx命令やCall命令を発生させることで割り込みルーチンへジャンプする動きとなります。

ちなみにSBC8085、KZ80-CPUBはデータバスをプルアップしていまして、割り込みがかかったのち データバスに 16進数でいうとFFh、80系のインストラクションでいうと RST 7 (RST 38h)が発生したように挙動するようになっています。つまりシリアル割り込みがかかると 38h番地へのCallが発生して割り込み処理ルーチンが走りシリアル入力の文字をリングバッファへ保存する動きとなっています。
(SBC8080 CPUルーズキットだと8228の#INTAが+12Vにプルアップされていて同様の挙動をするようになっています。….と「古典電脳伝説」で読みました^^)>)

今回は8251×2つで2シリアル対応にしたいので、複数の8251の割り込み信号(シリアルだと「データが1バイト届いたよ」という信号)をうまいことデータバスに「命令」として乗せてあげるコントロール回路が必要となります。いろんな参考書にこの動作をする回路が出ていまして、それを参考に作ってみた回路図が以下のものです。
シリアルAからの割り込みの場合は RST 7(RST 38h)、シリアルBからの割り込みの場合はRST 6 (RST 30h)を発生させる回路です

74HC148はプライオリティエンコーダーというロジックICで、Lレベルとなった入力端子にあわせて3bitの出力を出してくれます。入力端子7番が一番プライオリティが高く、入力端子0番が一番低くなっていて、プライオリティの高い番号がバイナリ3bitで出力されます。また割り込み信号がどこかの入力端子に届いたときにEO端子がHレベルになりますので、CPUへのINT信号として使用します。
80系のCPUのRST命令を2進数でみると以下のようになっています。上位2bit、最下位3bitが 1 になっていて、真ん中の3bitが 0〜7に変化しています。この3bit分をデータバスへ出力してあげればRST命令になります。

ニーモニック命令コード(2進数)Callアドレス
RST 0 (RST 00h)1100011100h
RST 1 (RST 08h)1100111108h
RST 2 (RST 10h)1101011110h
RST 3 (RST 18h)1101111118h
RST 4 (RST 20h)1110011120h
RST 5 (RST 28h)1110111128h
RST 6 (RST 30h)1111011130h
RST 7 (RST 38h)1111111138h

74HC148プライオリティエンコーダーの出力は負論理(Lレベルが 1 )なので74HC04 NOTゲートで反転させます。それを74HC541 スリーステートバッファへ入れます。74HC541 スリーステートバッファの入力端子をすべてプルアップしているためプライオリティエンコーダーの出力がつながっていない端子は H つまり “1” となります。
ただ、いつでもデータバスにRST命令を流していると他のLSIの出力とぶつかるため、CPUからの#INTA(割り込み受付)をトリガーにしてRST命令を流すようにします。

ちなみに、KZ80-CPUBはSBC8085ルーズキットのように#INTA(割り込み受付)信号を出していませんでしたので、上記のように#M1(マシンサイクル1)信号と#IOREQ(I/O要求)信号のORをとって出力するように細工しました。Z80の場合は割り込みを受け付けるとその2つの信号線がLレベルになるのです。

試作してみた

上記の回路でユニバーサル基板を作成し、KZ80-IOB x2枚を使って試作してみました。KZ80-IOBの割り込み信号はパターンカットして、SBC8080バスとは別経路でユニバーサル基板へつなぐ作戦です。

CPUボードの方は、SBC8085ルーズキットはそのまま使えますが、KZ80-CPUBは#INTA(割り込み受付)信号をつくる必要がありますので、基板裏にSOPの74HC32をはりつけて配線してみました。

Grant’s機械語モニター、CP/Mの対応箇所

いままではハードウェア対応の話でしたが…..
2シリアル対応にするために、Grant’s機械語モニターとCP/Mに2シリアル対応を入れる必要があります。基本的には以前の移植手順のシリアル部分を2シリアル対応に戻すことになります。
8251×1(シリアルA)対応したルーチンをコピペしてシリアルB用ルーチンを作成します。(きっともっと良い書き方があるはずですが…..ちょっと今回は手抜き)

機械語モニターの対応箇所

  • 割り込みシリアル入力処理は 従来のアドレス38hからジャンプした先のルーチンはシリアルA用、アドレス30hからジャンプする先にはシリアルAの割り込み入力処理をCOPYしてシリアルB用にします。(データ保存バッファとしてリングバッファも2つ準備します)
  • INIT(初期化)処理でどちらかのシリアルからスペースバー入力されたらそちらを主シリアルと判断するルーチンを復活させます。ここで、primaryIOというワークエリアにシリアルAなら00h、シリアルBなら01hをセットします。
  • conin(シリアル入力)、conout(シリアル出力)、CKINCHAR(入力文字チェック)はprimaryIOに 00hが入っていたらシリアルAの処理、01hが入っていたらシリアルBの処理を実行するようにします。

CP/Mの対応箇所

CP/Mは従来同様 BIOSのシリアル入力部分を対応します。

  • 機械語モニター同様にserialInt(割り込み受信)、const(シリアル状況)、conin(シリアル入力)、conout(シリアル出力)の各ルーチンを2シリアル分用意します。
  • popAndRunルーチンで機械語モニターからのCP/M起動時にAレジスタで渡ってくるprimaryIOの情報(00h/01h)をもとにCP/MのIOByteを設定するルーチンを復活させます。
  • gocpmルーチンで 38hにシリアルA用割り込み処理のジャンプ命令をセットしていますので、それを真似て30hにシリアルB用割り込み処理へのジャンプ命令をセットします。

稼働確認

ハードウェアとソフトウェアの準備ができたら、稼働確認です。

Tweetをたどっていただけるとわかりますが、実はすんなりとは行かなくて(当初の回路図は考慮漏れだらけだったり….)ハマりましたが当初の予定どおり、機械語モニター起動時にシリアルAかBを選択(スペースバーを押したほうが使われます)後、CP/Mがどちらのシリアルポートでも稼働しました。

i8080/8085用に移植したGrant’s機械語モニターをさらに2シリアル対応したため、メモリーの予備エリアを食いつぶしてしまいました。もっと良いコードに今後修正していけたらと思っています。

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KZ80-CF コンパクトフラッシュボードとCP/M 2.2

128kB メモリーボードで64kBフルRAM化が可能となったので、SBC8080バスにつながるコンパクトフラッシュボードを作成してCP/M 2.2を動かしてみたいと思います。

コンパクトフラッシュボード(KZ80-CF) について

KZ80-CFはGrant氏の CP/M on breadboard で 紹介されているCFカードの情報をもとにSBC8080バスへCFカードを直結するボードです。
詳しい回路説明等はgithubのwikiをご覧ください。
https://github.com/kuninet/Z80_CF/wiki

CFカードはパラレルバスを持っていて、かつTrueIDEモードに対応したカードだと特定のピン(9番ピン(#ATA))をGNDに落とすだけでIDEドライブとして使用できるということでパラレルI/Oをもったマイコンからの操作が容易です

CP/M 2.2を稼働させる準備

CFカードの準備(128M/64M)

KZ80-CFに装着したCFカードをFDにみたててCP/Mを起動してみることにします。この際、”TrueIDE”対応の128M/64MバイトCFカードが必要です

メーカー型番備考
バッファローRCF-X 128M RCF-XシリーズはメーカーFAQで”TrueIDE”対応と出ています
I/OデータCFS-128M
ハギワラシスコムCFI-128MDG
ハギワラシスコムNFD10-256B

アセンブリ環境の準備

今回のCP/M稼働はGrant氏の以下のページで紹介されている手順で実施します。
http://searle.hostei.com/grant/cpm

Grant氏提供のCP/M関係アセンブラソースzipファイルにTASM(A Table Driven Cross Assembler for the MSDOS* Environment)が添付されてきます。MS-DOSで動作するクロスアセンブラです。私はMac上のWin2000で実行しました。Macだと仮想マシンでDOS環境を動かすかDOSBoxを使うのが環境準備としては容易です。Windows環境だとMS-DOS Playerが良いかもです。

ROM機械語モニターの移植

最初に、Grant氏が公開しているROM機械語モニターのシリアル部分をKZ80/SBC80系で動くように移植します。Grant’sモニターは機能は少ないですがCP/Mのロード機能を持っているので今後の運用に便利です。(その部分だけ別モニターに移植しても良いですが….)

Grant氏の公開しているモニターは、シリアル通信にZ80 SIOを前提にZ80 CPUの割り込みモード2を使用していますが、KZ80/SBC80系で動かすためには8251シリアルLSIを割り込みモード0または1で動かすように変更します。
移植の手順は以下のgithub wikiに詳細をまとめました。
https://github.com/kuninet/KZ80_CPM/wiki/KZ80%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%81SBC8080-8085%E3%81%A7CP-M

基本的にはSBC8080データパックのソースを参考に 初期化ロジック、シリアル入力/出力、シリアル割り込み入力などを移植します。各ルーチンの入出力インターフェースが似ていますので移植は容易です。

CP/M 機種依存部分の移植

CP/Mに関してWikipediaを見ると以下の記載があります。

CP/Mは、シェルであるCCP (Console Command Processor)、OSの本体であるBDOS(ビードス、Basic Disk Operating System)、入出力を処理する下位プログラムの集合体であるBIOS(バイオス、Basic Input and Output System)で構成される[2]。ハードウェア依存部分はBIOSに集中させてあるので、BIOSだけを変更することで大抵のハードウェアに移植可能となっていた。BIOSの機能はシステムの初期化、CCPのリブート(アプリ実行の終了とシェルの再起動)、コンソールなどのキャラクタデバイスリダイレクト付入出力、フロッピーディスク/ハードディスク等の1セクタ単位の入出力だけである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/CP/M

上記のとおりCP/MはBIOSを移植することで80系システムへ移植が可能とのことで、Grant氏提供ソースの “cbios128.asm” や “cbios64.asm”をカスタマイズすることでKZ80/SBC80系システムで稼働できそうです。

Grant氏のBIOSソースのカスタマイズポイントを以下のgithub wikiにまとめました。
https://github.com/kuninet/KZ80_CPM/wiki/KZ80%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%81SBC8080-8085%E3%81%A7CP-M
ほぼROM機械語モニターの移植と同様です。シリアル入出力関係の部分、メモリーの64kフルRAM切り替えについてのカスタマイズが必要です。
注意点は以下になります。

  • KZ80-1MSRAMを使用した場合のメモリー64kフルRAM切り替えは、バンクレジスタへ 00hを出力すること。(3箇所あります)
  • シリアル1文字出力ルーチンではCレジスタで出力文字が渡ってくることに注意。

CP/M 2.2を起動する

CP/M 2.2を起動するための手順詳細は以下のGrant氏の ページや、わたしのgithub wikiページの下の方にあります。

大雑把に言うとROMモニターで起動し、CFをform128プログラムなどでフォーマット実施、CP/M本体+BIOSをインテルHEX形式で一旦メモリーへロードしたものをputsysプログラムでCFの先頭セクターへ書き込みすると完成です。

環境は若干違いますがYouTubeにそのあたりを実演した動画をUPされている方がいました。以下の動画です。実演動画は分かりやすいです。この動画をみて、私もCP/M起動できるかもと思ったという….

違いはRC2014コンピューターはROMが7FFFhまであるみたいでputsysやform128プログラムを8000h番地以降にロードしている?ようでした。ここはKZ80-1MSRAMをお使いの場合はGrant氏の手順どおり実行できます。

以下のようにシリアル端末の画面にプロンプト “A>” が表示されればCP/M起動成功です。おめでとうございます
これで様々なCP/M対応のプログラム(テキストエディタ、CやPASCAL、BASICなどの開発言語、ゲーム…etc)が動くようになります。

SBC8080/8085でCP/M 2.2を動かす場合

上記手順で移植したソースの場合、Grant氏提供のBIOSなどのソース類にZ80固有命令(DJNZ、LDIR…etc)が含まれているためSBC8080/8085ではCP/Mが起動しません。

わたしはThe Macroassembler AS の8080CPU用アセンブリ機能のZ80ニーモニックを使用するモードを使用して、機械語ROMモニター、BIOSなどのソースに含まれるZ80命令を8080命令へ置換することでCP/M起動に成功しました。(インテルニーモニックが苦手だったもので….)

https://github.com/kuninet/KZ80_CPM/wiki/Z80-ASM(TASM)%E3%82%928080-ASM%E3%81%B8%E7%A7%BB%E6%A4%8D%E3%81%99%E3%82%8B

CP/M本体(CCP/BDOS)は8080の機械語だけで構成されているため、ROMモニターやBIOSさえインテル8080で動作するように対応すればOKです!!

KZ80-YM2151 FM音源ボード

以前ユニバーサル基板で作成したYM2151チップを使ったArduionoシールドとほぼ同じ回路をプリント基板で作ってみました。

ユニバーサル基板版との違い

以前ユニバーサル基板で作成したYM2151 FM音源ボードはArudinoUNOかKZ80-IOBのAdruino端子にしかつながりませんでしたが、今回のボードはSBC8080バスにもつながるようにしました。(ちょっとジャンパは増えちゃいましたが…)

詳しい回路の説明やジャンパの設定方法などは以下のgithub Wikiを参照してください。
https://github.com/kuninet/Z80_YM2151/wiki

無事稼働!

いままでのArduino接続端子も SBC8080バスの接続もどちらもFM音源が発声しました!!

KZ80/SBC80系 128kBメモリーボード REV2

KZ80-CPUBやSBC80系のCPUボードとSBC8080バスでつながって動作する128kB SRAM&ROMボード KZ80-1MSRAMのREV2を作りました。

基板データ等配布先について

いつもどおりREV2に関するKiCADデータや関連ソフトウェアはgithubで公開しています。以下をご覧ください。
https://github.com/kuninet/Z80_1MRAMB/releases/tag/2.0
ちなみに、バンク切り替えイメージなどまとまった解説はgithub wikiに書いています。そちらも併せてご覧ください。
https://github.com/kuninet/Z80_1MRAMB/wiki

REV1からの改良点

REV1からの改良点は以下のとおりです。

  • 起動時、リセット時に初期バンク番号を バンク1へ固定
    • REV1では起動時、リセット時にメモリーバンク番号が不定でした。これは設計当初から固定RAM域(4000h-7FFFh)をあてにして機械語モニターを起動させ、ソフトウェアで初期バンク番号を決定するという方式を考えていたためです。
    • この方式だと、機械語モニターへ命令追加しないとCPUボードによって初期バンク番号が違ってしまうという状態でした。
    • そこで、メモリーバンクレジスタのICを74HC573(Octalラッチ)から74HC74(D-FF)へ変更しました。実験回路として検討したときの回路図は以下になります。
    • CPUリセット信号パルスを74HC74のDフリップフロップのリセット/セット端子へ与えることでメモリーバンク番号 “01”に初期設定されるようにしています。
  • 64kB フルRAM切替回路
    • いままでバンク0の指定はバンク01に読み替えることで意味がないものでしたが、そこを見直して64kB切り替えの指定としました。
    • 動作原理としては、上記 回路図のメモリーバンクレジスタの出力が “00”(つまり両方Lレベル)となった際の信号と、ROM/RAM選択の74HC139デコーダの信号をあわせてROM/SRAMの#CEへ供給することでフルRAM化を実現しています。(バンクレジスタが00だとSRAMしか選択されなくなります)
    • フルRAMに切り替わったことを確認できるようにLEDも追加しました。(バンク0=フルRAMなので無用かもですけど….^^)>)
  • バンクレジスタI/Oアドレス選択ジャンパ
    • いままでバンクレジスタのI/Oアドレスは80h固定でしたが、ジャンパにより00h、40h、80h、C0hの切り替えが可能となりました。
    • 基板スペース等の関係でアドレスデコーダを74HC138にできなかったのが心残りですが….

今後について

リセット時のRAM構成がハード的に安定したことと、フルRAM切り替え回路が作成できたので、CP/Mを動かしてみたいと思います。参考にするのはいつもお世話になっている以下のGrant氏のページです。
http://searle.hostei.com/grant/cpm/

KZ80-IOB REV1.1

KZ80-CPUB(CPUボード)や SBC8080 CPUルーズキットと組み合わせて動くI/O基板のREV1.1基板ができました。
githubで リリース1として固めました
https://github.com/kuninet/Z80_IOB/releases/tag/1

REV1.1基板の変更点

リリースノートにも書きましたが、以下のREV1基板の課題を修正しています。

  1. PPI(8255A)への入出力端子x2のポートA+C、ポートB+Cの組み合わせを修正しました。
    1. グループA : ポートA(PA7〜PA0)+ポートC(UPPER)(PC7〜PC4)
    2. グループB : ポートB(PB7〜PB0)+ポートC(LOWER)(PC3〜PC0)
  2. PPI(8255A)への入出力端子x2の物理配置間隔を修正、2×7ピンボックスヘッダを2つ並べて組み付け可能
  3. シリアル接続用L型 1×6ピンヘッダの端子説明シルク添付
  4. NOT回路用 トランジスタ(2SC1855)のランドパターン変更。
  5. ICのランドパターンと貫通ビアが接近部分修正。
  6. SBC8080バスの電源+5V、GNDの部分に電解コンデンサを装備。

部品実装例

部品実装例は以下になります。

GWMON-80用 MC6850 I/Oモジュール作成

前回紹介した80系機械語モニタ GWMON-80用に Grant’s Z80 マイコンでも使用しているモトローラMC6850シリアルLSI用のI/Oモジュールを作成してみたいと思います。

I/Oモジュールの仕様について

以下のREADME.mdの後半にも書かれているとおり、I/Oモジュールとしては4つのサブルーチンが必要です。
https://github.com/kuninet/glitchworks_monitor/blob/master/README.md#writing-io-modules

サブルーチン名説明
SETUP・スタックポインタの設定
・デバイスの初期化
CINNE・エコーなし1文字入力
CIN・エコーあり1文字入力
COUT・1文字出力

今回は、i8251汎用I/Oモジュール(io_modules/i8251.asm)をベースにポーリング型のシリアル通信の実装をしてみます。

SETUPルーチン

まずはSETUPルーチンです。上記の表にもあるとおりZ80/8080システムとしての初期設定を実施します。

シリアルデバイスのI/Oポート定義

シリアルデバイスのI/OポートアドレスをEQUで定義します。今回はGrant’s Z80マイコンの仕様にあわせて以下のように、制御ポート80h、データポート81hとします。

CTLPRT  equ 80H
DATPRT  equ 81H

スタックポインターの設定

スタックポインターは通常 最上位アドレスFFFFhからへ設定します。今回 バンク切り替えしないシステムではそのままでOKですが、私が作った128k SRAMボード(KZ80-1MSRAM)の場合は固定RAM領域が7FFFhですので、自分の環境にあった設定に変更します。

 
SETUP:  LXI SP, 0FFFFH

シリアルデバイスの初期化

つづいてシリアルデバイスの初期化を行います。INIUART$に定義されたデータを制御ポートへ指定バイト数分出力するルーチンになっています。MC6850の初期化はi8251よりもシンプルでリセット(03h)と通信設定「割り込みなし、8bitノンパリティ、64分周」(16h)にします。
送出バイト数も忘れず 2へ修正します。

        MVI B, 02H              ; length of ini string
INURT:  MOV A, M
        :
        :
;Init string for the 6850, x64 clock, 8N1
INIUART:  db 03H,16H

CINNE(エコーなし一文字入力)ルーチン

エコーなし1文字入力ルーチンでは、MC6850のコントロールポート(80h)をREADしてステータスレジスタの値に01hのビット(受信OK)が立っていたらデータポート(81h)から読み込むようにします。

CINNE:  IN CTLPRT
        ANI 01H
        JZ CINNE
        IN DATPRT
        RET

CIN(エコーあり一文字入力)ルーチン

エコーあり一文字入力は i8251.asmを真似て エコーなし一文字入力ルーチンをCallした後 データポートへ1文字出力することにします。
(後述する出力可フラグをチェックしたほうがベターかも…)

CIN:    CALL CINNE
        OUT DATPRT

COUT(一文字出力)ルーチン

エコーあり一文字出力は、MC6850のコントロールポート(80h)をREADしてステータスレジスタの値に02hのビット(送信OK)が立っていたらデータポート(81h)へ出力するようにします。
一文字入力と一文字出力のReadyフラグが8251とMC6850では逆になってますが大枠としては同じロジックでいけそうです。

COUT:   PUSH B
        MOV B, A
COUT1:  IN CTLPRT
        ANI 02H
        JZ COUT1
        MOV A, B
        OUT DATPRT
        POP B
        RET

Grant’s Z80 ユニバーサル基板マイコンで 稼働テスト!

ここまで対応したI/Oモジュールを、GWMON-80のメインモジュール(monitor.asm)と合体させて、CP/MのMAC.COMでアセンブリしたものを、GWごろに作成したGrant’s Z80 ユニバーサル基板マイコン用のROMとして焼いて動かして、無事稼働しました!!
シリアルのスピードは115200bpsですが、ポーリング型でも意外と取りこぼし無く動きます。今後 SBC8080データパックのソースを参考にさせていただいて 割り込み駆動型などへも挑戦してみたいと思います。^^)>
今回修正したソースは、以下のgithubにもUPしています。前回のビルドスクリプトを改良してMC6850用モジュールビルドも自動化していきたいと思います。
https://github.com/kuninet/glitchworks_monitor/blob/master/io_modules/MC6850.asm

80系機械語モニタ GWMON-80

8080/8085/Z80で稼働する機械語モニター GWMON-80を最近よく使わせてもらっています。

機械語モニタ GWMON-80について

  • 機械語モニタGWMON-80はgithubで公開されています。なんと2018年にメンテされている機械語モニターです。素晴らしい。
  • 機能は以下の通りで、シンプルなものとなっています。
    • Z80のクロスコンパイラなどで出力されるインテルHEX形式データのロード機能を持っています。
    • LEDチカチカさせたりZ80でI/Oポートをよく叩く私としてはIN/OUT命令が装備されているのがお気に入りです。
 
D XXXX YYYY Dump memory from XXXX to YYYY 
E XXXX Edit memory starting at XXXX (type an X and press enter to exit entry) 
G XXXX GO starting at address XXXX (JMP in, no RET) 
I XX Input from I/O port XX and display as hex 
O XX YY Output to I/O port XX byte YY 
L Load an Intel HEX file into memory 

ビルド方法について

ビルド用バッチファイル

  • README.mdを読んでいただけると分かりますが、ビルドはモニター本体(MONITOR.ASM)と自分の環境に合ったI/Oモジュール(xxxx.ASM)を1つのファイルへ合体させてCP/Mのアセンブラでアセンブルすることとなっています。ビルド方法はプロジェクト範囲外ということで好きにやってくださいってことでした。
  • そこでビルドについて検討して、Windows10 Pro環境で以下のツールを使うことでアセンブルができました。手作業で毎回ビルドするとコマンドを忘れがちなのでWindowsのバッチファイルを作成しました。gistにUPしています。
  • ちなみに、他のクロスアセンブラでも若干のソース修正が必要ですが可能です。The MacroAssembla(ASL)では ラベルに”$”が使えなかったり、文字列の指定を “(ダブルクォート)に変更することでアセンブリ可能でした。
  • このビルド用バッチではgithubからソース類をもってきて、スタートアドレス/スタックポインタアドレス等の変更を行った後、CP/M ExecuterでMAC.COM(マクロアセンブラ)を起動する流れとなっています。
  • 依存関係を元に必要なビルドだけを実施できるとカッコイイですが、そこはまた今後の課題ということで ^^)>
  • KZ80-CPUB+SBC8080 SUBやSBC8080+SUBボードで使用している8251用のI/Oモジュールを合体させるスクリプトになっています。
  • KZ80-1MSRAM用にスタックポインタをFFFFh→7FFFhへ変更したソースも生成しています。

バッチファイルを動作させるディレクトリ

  • バッチファイルを動作させるディレクトリは、以下の構造を想定しています。
.
│ build.bat
├─build\
│ [build terget Dir]
├─cpm32_04\
│ │ [CP/M Executer Dir]
│ ├─src
│ └─utl
├─glitchworks_monitor\ [GWMON-80 git checkout Dir]
│ └─io_modules
├─mac-b\ [ CP/M MacroAssembla MAC.COM]
└─src\ 
  • cpm32_04ディレクトリはCP/M program EXEcutor for Win32を展開したディレクトリ、mac-bディレクトリはMAC BINARY (8080 Macro Assembla)を展開したディレクトリです。

ビルドバッチファイルの実行

  • ビルドバッチファイルを実行すると build\ ディレクトリにモニターのソースが生成されMAC.COMでアセンブルされた リストファイル(.PRN)とインテルHEX形式のオブジェクト(.HEX)が生成されます。
 
> build.bat

動くとこんな感じ

  • 機械語モニターを動かすとこんな感じです。

つぎは…

ビルドができたので、つづいて別のシリアルチップ用にI/Oモジュールを書いてみたいと思います。Grant’s Z80コンピューターで使ってるモトローラMC6850チップ用のモジュールを作ってみたいと思っています。